今回のコラムは「なぜ人はお葬式をするのか」についてです。
すべての人は生まれ、必ず死を迎えます。最後のお別れの時間であるお葬式には、どのような役割があるのか、お葬式に携わる立場として改めてお伝えいたします。
社会的役割
人は社会のなかで生まれ、生活をしています。そんな社会に、その人が亡くなったことを知らせるため、役所に死亡届を提出し戸籍に反映することや、相続などの手続きが必要です。
物理的役割
死者の身体であるご遺体は生命を失うことにより腐敗が始まります。そのため、ご遺体を火葬や土葬をする等適切な処置を行う必要があります。
文化的役割
亡くなった人の霊を「この世」から「あの世」に送り出してあげる、途中で迷わないように導く、お葬式に宗教者を迎え行う大きな理由の1つがここにあるのではないでしょうか。
心理的役割
ついさっきまで元気だった大切な人と突然会話することも笑い合うこともできなくなる……人の死が人に与える影響はとても大きなものです。周囲の人が故人様とのお別れを受け入れるには、非常に長い時間が必要です。故人様と縁のあった多くの人たちと集まり、故人様を偲ぶことで悲しみの中にある心に寄り添い、慰めることに繋がります。
昨今では、宗教者の方を呼ばず集まったご家族で故人様とお別れの時間を過ごし、ご出棺、火葬といったケースや、告別式をせずお骨も拾わない、といったケースも少しずつ増えてきています。
家族だけでお葬式を行い、後から知った方から「どうして知らせてくれなかったのか」「私も最後に顔を見たかった」といった声があがりトラブルに……といったケースもあるようです。
さかのぼると人類は約4万年以上前か故人を埋葬する儀式を行っていたそうです。故人様を偲ぶ気持ちはいつの時代も変わりません。このことを胸に、ご遺族様に寄り添い、力になれるよう精一杯努めてまいります。